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コラム

COLUMN

2023.02.15
耐震

効果に疑問?気を付けたい耐震補強


以前「耐震性チェックが必要な建物」について4回に分けて解説しました。

その中で「耐震性チェックや耐震補強工事を依頼する際には、耐震補強工事の経験が豊富な業者に依頼する事が重要」と述べました。

(過去記事リンクは一番下にあります)

補強工事には様々な工法があり、業者によって提案される工法に違いがある事があります。最近は多くの補強方法や部材が開発され、耐震補強の経験豊富な業者も一時期より増え、一般的になった事で経験豊富な業者も増えた一方で、中には効果的に薄い補強(増強)方法や全く意図の見えない補強工事があることも事実です。

今回はそんな工事を見分ける為の「こんな耐震補強は注意!」というキーワードを少し紹介しようと思います。

 

1.耐震診断しない

 

耐震補強工事の際は「耐震診断」が絶対必要になります。家のどこをどんな方法でどれくらい補強したら良いのか判断する為には、現在の耐震性や構造、状況を知る必要があります。

お医者さんも治療する前に診察しますよね?…至極当然のことです。

なかには耐震診断も行わずに補強提案される事例もあります。

後にも出てきますが、屋根工事や外壁工事、床下や屋根裏工事を中心に地震対策を勧める時に多い事例です。

どこがどれくらい悪いのか、どこを補強するべきか知らないまま工事するのですから、補強効果があるのかないのか、本当に耐震補強工事なのか?も分からない…しっかりした診断と根拠、判断ができる業者を選定する事が重要です。

 

1-1.診断法が簡易診断

たとえ「耐震診断」をする場合でも注意が必要です。特に「簡易診断」で診断された場合です。

通常、耐震補強工事の診断設計では「一般診断法」や「精密診断法」と言う診断設計法を用いて行います。

簡易診断では、壁の中の筋交いの有無など詳細を判断せず、見た目上の壁の長さだけで耐震性を判断する診断法で、元々は「これ以上に詳細な耐震診断や設計が必要かどうか」を判断する為に用いられるもので、行政が提供している「無料耐震診断」などで実施されている診断法でもあります。帳票も見た目は立派なものが出てくるので見分けるには専門知識が必要です。

仮にも数値で診断結果や補強効果が提示されますが正確な判断には程遠い精度なので、この診断結果を元に補強工事設計や工事をしてしまうと大変危険な結果に繋がる、特に注意が必要な事例と言えます。

 

1-2.診断が簡単、図面を信用し過ぎる

ご存知の方は少ないかも知れませんが、耐震補強が必要な年代の建物では、柱や筋交い、間取り(壁)の位置が実際の建物と違う建物が殆どです。その相違点をしっかり把握するには床下や屋根裏などは実際に潜って詳細を調査しなければわかりません。

故に耐震診断も屋根裏や床下に入らない(又は覗く程度)など簡単な診断しかしない場合も注意です。中には建築当初の図面があった場合、図面だけで診断設計してしまう事例も存在します。

 

2.簡単過ぎる補強工事

 

耐震補強工事はなるべく負担を少なく簡便に行いたい…と言うのは皆様が思っている事だと思います。正に理想形です。昨今では技術の進歩から実際に比較的簡便に補強効果が得られる工法も開発されています。

ですが、あまりに簡便な場合も注意が必要です。

耐震性を高める補強方法の中には金物を接合部に設置したり、揺れを吸収する制振装置などがあります。確かに比較的簡便な工事で済みますが「それだけ」では耐震補強工事として充分な効果が得られ難いことも事実です。

耐震性が低い原因の大半は、壁が持つ耐力が低い事が原因です。その場合、筋交いや構造用合板などで「壁」の強度を高める事が基本になります。接合部に金物や制振装置の補強効果は「壁に充分な耐力がある」事が前提となる事が多く「金物だけ」「設置するだけ」などの簡単過ぎる補強工事も注意が必要と言えます。

 

2-1.屋根裏、床下ばかり工事する

特に注意が必要な事例に、屋根裏や床下ばかり提案する事例があります。

屋根裏(小屋裏)や床下は、人間が潜って工事すれば比較的簡便に工事ができる為、荷物を動かす手間や仕上げ工事の必要性が少なく、高齢者の施主様にも負担が少ない効率的な工事に見えます。

しかしそういった場所の工事は、先程述べた金物や装置に偏った補強になる事が多く、その補強効果にも多少の疑問が生じます。以前には、ほとんど耐震補強工事の必要が無い床束(床を支えている短い柱)や小屋束(屋根を支えている柱)などの接合部に公的認定の無い補強金物を設置する工事が多く横行し「悪質リフォーム工事」として社会問題となったケースもありました。

 

3.やたら屋根葺き替えを勧める

 

簡単な工事には注意が必要…と言いましたが、反対にやたら大きな工事を勧める事例にも注意が必要です。

特に屋根軽量化。以前記事(下記リンク)でも述べましたが、屋根軽量化は大きな補強効果が得られる反面、費用的には大きな負担が伴います。しかし屋根の軽量化はあくまでも建物負担の軽減を目的にする為、建物の配置バランスや充分な壁耐力不足の解消まで至らない事が多く、屋根軽量化より壁補強などを優先したプランの方が費用が安いケースも多くあります。

屋根は耐震性能に直結するイメージを持つ方が多く、中には診断もせずに「屋根を軽くすれば地震で倒れない」とか「屋根から工事するのが耐震補強の基本」というような極端な言い方をされる場合も…これも注意が必要と思います。

耐震補強工事の経験が多い設計者ほど屋根軽量化は「最後の手段」と考えることが多いです。

 

4.まとめ

 

何度も言いますが、建物の耐震性は「命」に繋がる非常に重要な事柄です。

そんな大事な耐震性をいいかげんな業者に任せるのは非常に危険な事だと、すぐにご理解いただけると思います。

もし病気を治すならば、なるべく腕の良いお医者様に診てもらいたい…当然です。

ご自分やご家族の「命」を守る耐震補強。

しっかり見定めて下さい。

わからなければ、専門家に聞いて下さい。

 


過去記事 リンク

耐震性チェックが必要な建物とは?

続 耐震性チェックが必要な建物とは?

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