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コラム

COLUMN

2022.05.06
耐震

耐震性チェック(耐震診断)が必要な建物とは?


日本は世界でも有数の地震大国と言われています。

国土面積は世界の0.25%しかない日本で、世界全体のマグニチュード6以上の地震の実に20.8%が起きています(内閣府:平成18年度防災白書より)。

直近30年を見れば、阪神大震災、中越地震、熊本地震、そして東日本大震災… その他も含めて度重なる震災を目にして来ました。その度に、建物、特に木造住宅の「耐震性」の重要性が叫ばれて来ました。

住宅の耐震性は「命」に直結するものです。
曖昧な判断をしてしまうと取り返しのつかないものでもあります。

しかし、自宅の耐震性について判断に迷う方も多いと思います。

今回はそんな方の為に、自宅の耐震性チェック(=耐震診断等)が必要かどうかを判断する方法をいくつかご紹介しようと思います。(※注:今回は主に木造を中心に解説していきます。)

1 .築年数

まずは「築年数」から調べて見ましょう。築年数が影響するものでは大きく二つの要素があります。

 

1-1.経年劣化

まず、経年劣化して部材の強度が低くなる事があります。見た目の異常はなくとも、木造であれば白蟻の被害や外装材の劣化での雨漏りなどが影響しますし、木造以外でも鉄錆やコンクリートのクラック(ひび割れ)などによる部材劣化は耐震性に直接影響します。

 

1-2.法律(建築基準)

次に法律です。建物を建てる際には「建築基準法」を守って建てる必要があります。

これは建物を建てる際に必要最低限守るべき法律で、大きな地震やその他の災害の後に度々改正がされています。

建築基準法

 

木造の耐震基準で重要な改正は、昭和56年(1981年)と平成12年(2000年)にされています。

昭和56年基準では、それ以前の宮城県沖地震で家屋倒壊の主原因と判明した「壁量」について大きな改正がされました。大まかには、柱が倒れないように補強する「筋交い」の設置量が大幅に増加されました。これは耐震性に大きく影響する改正で、この改正以降の建物を「新耐震」、以前の建物を「旧耐震」と呼ぶほどです。

しかし、昭和56年以降の建物も平成7年の阪神大震災で「柱が抜けてしまう」「壁配置バランスの影響」が原因で倒れてしまった事例が多かった事から、平成12年基準で改正がなされています。「柱等の接合方法(金物)」「壁の配置(バランス)」について具体的に基準が決められています(こちらについてはまた詳しく解説する機会を設けようと思っています)。

以上の事から、築年数からの判断は以下のように考えます。

昭和56年以前築… 最優先で耐震性のチェックが必要。

昭和56年〜平成12年築…優先的に耐震性のチェックが必要。

平成12年築以降…設計上の耐震性はOK(改築で間取り変えてたりしていなければ)ですが、前述(1-1)の通り経年劣化を考慮したチェックが必要です。

 

2.建物の構造

次に工法による判断を考えてみましょう。

住宅を建てる工法にはたくさんの種類があります。当然、工法も耐震性の判断には重要な要素です。まずは、「木造」と「非木造(鉄骨、鉄筋コンクリート造等)」。更に「木造」の中にも様々な工法があります。

 

2-1.木造在来軸組工法

耐震性チェックの必要度が一番高い工法です。その理由としては、現在日本で一番多く採用されている工法で、古くは昭和30年代から使われている工法で、棟数も多いが故に各地震災害でも被害が最も多く報告されている工法でもあります。

しかし、耐震性は決して低い工法ではなく、加工や間取り変更が比較的容易である事、設計上の汎用性が高く、広く普及しているが故に耐震性を高める部材や工法が多く開発されている等多くの優位点があります。

 

2-2.木造枠組壁式工法

「ツーバイフォー」などと呼ばれる事が多い工法で、工期や費用等でも利点が多い事から昨今かなり増えている工法です。初期のものは昭和40年代から建てられ始めています。

在来木造と違い、柱ではなく木質パネルを組み合わせて「面」で支える工法です。

言葉だと難しいですが、イメージ的には「段ボールは紙だけど面で支えるから強い」という感じで、地震力を面で理想的に伝える事で高い耐震性を実現しています。

その為、設計上耐震性の設計上のチェックはほぼ必要無い工法と言えます。

その代わり、白蟻被害や雨漏りによる腐朽等で木材に被害が及んでんいる場合、面の構成が崩れる事で耐震性への影響が大きく出てしまう工法でもあるので、経年劣化による部材被害を調べる事が重要となります。

 

2-3.非木造

住宅のような比較的小さな建物の場合、木材よりも強度が高い鉄骨や鉄筋コンクリートの方が耐震性は高く強固です。但し木材よりも重量が重い事や耐用年数が木材と比べて短いなど不利な点もあります。鉄の場合は錆、コンクリートではひび割れなどが発生している場合は強度に不安が出ますし、また木造と違い、耐震診断や設計はより専門性が高く耐震性の判断が難しい事や、木に比べて加工や交換が難しい為、修繕や補強する際は工事規模がより大きくなる傾向があります。

こちらも設計強度よりも経年劣化による劣化状態の確認が重要となります。

 

3.建物の履歴

住宅はライフスタイルなどに合わせて改築や増築をすることがあります。これも耐震性チェックには重要な要素です。

 

3-1.増改築

増築や改築で建物の内装や間取りが変われば、耐震性も変化します。部屋を明るく広く利用する為に壁を取り払ったり、動線を改善するべく建具の位置を変えたり…。木造の場合、壁や柱で建物を支えています。それを変えれば当然耐震性にも大きな影響が出ます。

しかし、リフォーム時に耐震性の再計算やチェックをして工事する事で影響は最小限にできるのですが、中々そういった設計はされていないのが現状です。中には、詳細な耐震診断や設計(簡易的な耐震診断を含む)をする事無く「耐震補強工事」を行っているケースで、工事前より工事後の方が耐震性が低くなってしまった例も少なくありません。

それ程、建物の構造体(柱や壁等)に手を入れる際には細心の注意が必要です。

以前に行った工事で「耐震性のチェックをしていない」又は「したかどうかわからない」と言った場合、築年数にかかわらず最優先に耐震性のチェックが必要な建物と言えます。

 

3-2.メンテナンス

増改築で建物に手を入れる事も大きく耐震性に影響を及ぼしますが「何もしていない」事も耐震性に大きく影響を及ぼします。「何も手を入れていない=メンテナンスしていない」事でもあります。以上の解説の中でも度々「経年劣化lという言葉が出ている様に、部材を守るためのメンテナンスの履歴も重要となります。

代表的なメンテナンス例としては外壁(屋根)塗装、シロアリ防除、防水(ベランダ等)、設備(配管類)が挙げられます。

外壁塗装や防水など外装系はおよそ10年。シロアリ防除は5年、設備系は10年〜20年を目安に点検や交換、メンテナンス工事が必要とされます(細かい年数は個所によりますが)。

部材が劣化による影響で弱ってしまえば、設計上の強度が十分でも100%その性能を発揮できないのは当然です。こちらは定期的なチェックをおこなっているかどうかが重要になります。

 

4.まとめ

耐震診断

ここまで、耐震性のチェックを必要とすべき建物について色々解説してきましたが、最後に最重要な要素をお伝えします。

耐震性のチェックは必ず「専門家」に依頼するようにしてください。

 

先にも述べましたが、耐震性は「命」に直結する事柄です。

「これぐらいなら大丈夫だろう」「大工さんに頼んだのだから大丈夫だろう」

…という、安易な判断が命取りになる事があります。

 

「耐震性の判断」には経年劣化や増改築による変化、当時の建物ごとに使用している部材や工法も違ったり…と、様々な要素を総合的に判断する事が必要な為、大工さんや建築士等「建築のプロ」でも「耐震性の判断」は苦手な方もいます。

 

耐震性のチェックを依頼する際には、耐震補強工事の設計や工事経験の豊富な業者を選定するのが一番重要な事と言えます。

今回の記事が、皆さんの大事な建物と家族の命を守る一助になれば幸いです。