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コラム

COLUMN

2022.08.05
耐震

続続 耐震性チェック(耐震診断)が必要な建物とは?


前回、前々回と耐震性チェックが必要な建物について「木造在来工法の建物」、特に前回は特に重要な「壁」に注目をしました。

今回は第三弾として特に重要な「接合部」と「水平構面」について解説していこうと思います。

(第一弾はこちら) (第二弾はこちら)

1.接合部が弱い建物

 

接合部とは、柱や土台、梁などの部材が交わる部分ことを言います。木造の場合、木と木を繋げる為に、柱と土台ならば「ほぞ」と「ほぞ穴」、梁は「継ぎ手」といった「仕口」と呼ばれる加工を施してつなげます。釘を使わずとも強固に木を接合するこういった技術は日本の建築技術の素晴らしさの一端ですが、つまるところは木を差した(組んだ)ものなので、地震などで大きな力が加われば外れてしまいます。

特に、阪神大震災では「柱のほぞ抜け」が原因で倒壊した例が数多く報告されています。

写真:中越地震被害

 

1-1 柱が抜ける仕組み

 

「地震の揺れで柱が抜ける」…少し想像しにくい現象だと思うので少し解説します。

柱が抜ける原因は、いわゆる「縦揺れ」ではなく「横揺れ」で起こります。

建物は横揺れに対して壁の中の筋交いがつっかい棒となって柱を支えて耐えます。その筋交いがつっぱる事で柱を持ち上げる力が生じて柱を抜いてしまいます。

説明図

四角い箱を指で横から押すと片側が持ち上がる… 横の力が上に持ち上げる力に変わった結果です。

弱い壁であれば横の力に負けて変形してしまうので柱は抜けることはありません。筋交い等で強い抵抗力を持った壁であればあるほど柱が抜けやすくなります。

一般的な木造住宅でも、場所によっては2トンを超える引抜き力が加わる事は良くある事です。

 

強い力を発揮するには、強い筋肉だけでなく強い接合部が必要不可欠という事です。

耐震診断では接合部の強度も評点に大きく影響します。壁を強くした分、接合部も同等に強化する事が必須となります。

 

1-2. 金物について

 

その木造住宅の接合部を強化する為に用いられるのが「金物」です。金属のプレートや器具、ビスや釘、ボルトなどで接合部を補強します。

  • 基礎-土台…アンカーボルト
  • 柱と土台(基礎)…ホールダウン金物
  • 柱-筋交い…筋交い金物
  • 梁、桁…羽子板ボルト、短冊金物

などなど、部材や使用箇所ごとに、たくさんの種類の金物を使い分けます。

羽子板ボルト

▲羽子板ボルト・筋交い金物

ホールダウン金物

▲ホールダウン金物


金物ごとに設置位置や使用する釘、ビスの種類、本数まで細かく指定されており、その規定通りに施工されているかどうかも重要になります。が、しっかり施工されているか確認がしにくいものでもあります。

金物については、平成12年(2000年)6月の建築基準法改正で上記の規定が適用されているので、平成12年(2000年)より前の基準か後の基準かで判断されるのも良いと思います。

 

2.吹き抜けのある建物

 

次に吹き抜けのある建物です。

吹き抜けは空間に広がりを持たせ明るさや開放感を演出する設計手法として近年は良く用いられています。

近々では設計段階で耐震性能も考慮して導入されているので問題がある事は少ないのですが、少し前の設計であったり、リフォームで後から作られたり、むやみに大きい吹き抜け、「火打ち」などの部材が無い吹き抜けには注意が必要です。

火打ち土台
火打ち土台

▲火打ち部材例

 

2-1 水平構面の役割

 

2階の床面や2階建以上の1階屋根面(下屋)の中層の構造面を「水平構面」と言います。

建物を上から見た際の四角形が変形してしまう事を防ぐ役割と、2階直下に伝わる力をそれより外側の構造面に伝える役割を持っています。

特に2つ目の力を伝える役割は、前回扱った「2階の真下に壁が少ない」和風住宅の縁側の天井面がそれに当たります。その強度が不足する事でせっかくの「壁」が力を発揮できないケースは無数にあると言えます。

 

水平面の強度や効果は数値化できにくく、耐震補強計画を設計する際にも評点に反映しにくい部分なので注意すべき点の一つとなっています。

吹き抜け耐震補強

▲吹き抜け耐震補強

 

3.まとめ

 

これまで、耐震性チェックが必要な建物について解説してきました。

しかし、耐震に関わる事柄やお伝えした事はまだまだ沢山あります。

しつこいようですが次回も有用な情報をお伝えできるよう考えておりますので宜しくお願いします。

 

再三になりますが、 建物の安全性はそこに住まう方々の命に直結する事柄です。

 

今回の記事が、大切な建物とご家族を守る一助になれば幸いです。