住宅メンテナンス事業 | シロアリ駆除・防除、屋根・外壁塗装、メンテナンスリフォーム

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コラム

COLUMN

2022.12.23
住宅メンテナンス

メンテナンスの必要性を別角度から


住宅メンテナンスの必要性どのタイミングで何をすべきかまたその費用などについては、当コラムにおいてもたびたびお伝えしている事柄ではありますが、今回は住宅とはまったく異なる業界などの事例を取り上げて別視点からメンテナンスの必要性をお伝えする試験的な記事をお届けしてみようと思います。

1.メンテナンスは『予防』のため

 

 まず、物も人も長く良い状態を維持しようとするならばメンテナンス(手入れ・維持管理)が必要です。もし必要な時期に必要なメンテナンスを怠れば、物であれば壊れたり,人であれば怪我をしたり病気になったりと、より良い状態を維持できなくなることに繋がりかねません。そのため、どのようなものにおいても、良い状態を維持するためにはメンテナンスは欠かすことのできないものです。

 つまりメンテナンスとは、言い換えれば不具合に対する『予防』措置であるということです。『予防』措置であるからこそ、特別何も不具合が発生していない段階で手を加えていくことになるわけですが、とかく人は問題が起きて必要に迫られなければなかなか腰が重く行動することができない性質を持ちがちです。しかし、問題が発生してから対処するよりも、問題が起きる前に対処する,もしくは問題が起きないように対処する方が、より効果的でより生産的でより経済的であることは、言うまでもないのではないかと思います。

 今回はそのような予防的考えで対処した様々な事例から、その効果性の高さについてお伝えして参ります。

 

2.日本の平均寿命の変遷からみられる予防的対処の効果性

平均寿命の推移

 

 当社は1899年(明治32年)の創業です。その1899年当時の日本の平均寿命は男性も女性も45歳足らずでした。(完全生命表における平均余命の年次推移 厚生労働省ホームページより)そこから120年余り経過した現代では、私たち日本は優に80歳を超える平均寿命を有しています。

 それだけ平均寿命が伸びた大きな要因の一つは、120年前に比べ圧倒的に乳幼児期の死亡が大きく減少したことによります。120年前の当時の人々の多くが45歳前後で亡くなっていたという訳ではなく、乳幼児期に多くの子供が亡くなってしまうために、結果として平均寿命を押し下げていました。

 しかし現在では医療も発達し、乳幼児期に罹りやすい感染症や命にかかわりかねないものに対して、ワクチン接種をおこなうことで予防しています。一定の年齢になるまでは、麻疹・風疹・BCG・ポリオ・3種混合・4種混合等々、たくさん注射を打ちますよね。そのおかげもあって乳幼児期の死亡を大きく減少させることができ、当時からすると大きく平均寿命を伸ばすことに繋がりました。もちろん、生活水準や衛生環境の改善もありますが、このように各種ワクチン接種による乳幼児期の感染症予防が大きな効果をもたらしたとされています。

 「予防に勝る効果はない」

 住まいも同じです。悪くなってから直すより、悪くならないようにメンテナンスする。これが住まいを経年進化させていくための大切なプロセスです。

 

3.インフルエンザ感染者数からみられる予防的対処の効果性

 コロナウイルスによるパンデミックが発生して以来、インフルエンザの感染者数が激減していることは皆さんもご存知のことと思います。また、インフルエンザだけでなく、普通のいわゆる「かぜ」にも罹らなくなったという方も多いのではないでしょうか?

 季節性インフルエンザの患者報告数(厚生労働省ホームページより)によると、2019年期(9月〜4月)の定点観測によるインフルエンザ患者報告数は187万6000人余りです。それに対してコロナ禍が始まった2020年は56万3000人ほど、そして2021年に至ってはわずか1000人(2019年比で94%減)ほどに抑えられています。

 もちろんこれはウイルス干渉によりインフルエンザウイルスよりもコロナウイルスが優位になったものであるとも言えるかと思いますが、コロナ禍によって、皆が人との接触を最低限にし・人前ではマスクをし・手洗いうがいやこまめな消毒の徹底・3密を避けるなど、あらゆる感染予防対策を講じていることも、インフルエンザやその他感染症の流行を免れている要因にさの一つだと考えられます。

 コロナ予防対策として取り組んでいることが、結果として他の感染症の抑制に繋がっているものと考えられます。

 やはり「予防に勝る効果はない」です。

 住まいも同じです。悪くなってから直すより、悪くならないようにメンテナンスする。これが住まいを経年進化させていくための大切なプロセスです。

 

4.交通事故死亡者数からみられる予防的対処の効果性

 2021年の全国交通事故死亡者数は2636人で、6年連続で統計が始まって以来の最少を更新しています。(警視庁ホームページより)亡くなる方が減少していることは良い傾向とは言えますが、まだまだ多くの尊い命が失われ続けていることには変わりなく、より一層の改善を願うばかりです。

 ここまで交通事故死亡者数が減少するのには、政府や警察の皆さんの努力や国民ひとり一人の安全意識向上と交通事故防止に向けた行動があってのことと思いますが、シートベルトの制度化も大きな要因のひとつであったと思います。警視庁が公表する令和3年における交通事故発生状況等についてによると、シートベルト非着用は着用の17倍もの致死率であったと謳われており、シートベルトが事故発生時に命を守ることに繋がっていることを証明しています。

 その自動車のシートベルトは、1969年(昭和44年)にすべての新車の運転席に設置することが義務付けられたことを皮切りにして、1971年(昭和46年)に高速道路等の走行で運転席の着用が義務となり、その後更に複数回の制度変更があり現在では原則すべての道路すべての座席での着用が義務となりました。こうして今では乗車する際にシートベルトをすることは当たり前のこととなりました。

交通事故死者数の推移(令和3年)

 上のグラフを見ると、統計を取り始めた昭和23年以来交通事故死亡者数は右肩上がりに増えていましたが、ちょうどシートベルトの着用義務が始まった昭和46年前後をピークにして一気に減少していることがわかります。シートベルトの着用が交通事故で亡くなる人を大幅に減らすことに繋がりました。

 事故が発生しそうになってからシートベルトをする人はいませんので、まさしくこれは予防的対処が効果的にはたらいた実例だと思います。

 やはり「予防に勝る効果はない」ですね。

 住まいも同じです。悪くなってから直すより、悪くならないようにメンテナンスする。これが住まいを経年進化させていくためには不可欠と言えます。

 

5.その他

 

 その他にも、歯の定期健診による虫歯や歯周病の早期発見や発症リスク低減効果など、予防的対処の意義が厚生労働省からも謳われています。(歯周病検診マニュアル 2015 厚生労働省)特に歯周病には糖尿病や肺炎に心臓疾患など多くの他の病気を誘発するリスクがあることがわかっていますので、歯を健康に保つばかりでなく、体全体を健康に保つことにも繋がることが期待されています。

 

6.まとめ

 

 ここまで建物とはまったく異なる分野からの予防的対処すなわちメンテナンスの効果性を伝えて参りました。その他分野で予防的対処に効果が認められるからと言って、ただちに住宅のメンテナンスも同様だとは言いきることはできません。

 しかしながら、120年以上にわたって住宅のメンテナンスに携わってきた私たちは、適切なタイミングで適切なメンテナンスをおこなっておらず、雨漏りやシロアリ被害などの劣化を放置もしくは知らぬ間に劣化してしまい、結果として大きな損失につながってしまった実例を何度も見てきました。そしてそこには、費用面の代償だけでなく、愛着や思い出といった心理的な損失も含まれ、悲しい思いをされる方も見てきました。住まいはただ単に人が安心安全に暮らすための箱というだけではなく、家族や自分が最も自分らしくいられる自己表現の場所であり、自分や大切な人との思い出の在り処でもあります。そのよりどころが傷ついたり失われたりすることは、自分自身が傷つくことと同じような痛みを感じてしまうこともあるのかもしれません。

 大切な住まいを守り思い出を紡いでいくためにも、悪くなってから直すより悪くならないように住宅メンテナンスをする。何度もお伝えしてきましたが、「予防に勝る効果はない」です。

 住まいは経年進化する

今ある家をより永くより良い状態で未来へと紡いでいくこの価値観をこれからも伝えて参りたいと思います。