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コラム

COLUMN

2022.03.23
中古住宅

中古住宅取引時のトラブル


昨今の住宅市場において中古住宅取引が活性化しています。
政府も「既存住宅流通市場の活性化」(令和2年発表)政策案を公表するなど、今後の更なる活性化が見込まれています。
それに伴い増えてくるのが「中古住宅取引時のトラブル」です。
今回は、最近経験した事例と対策を解説していきます。

1:トラブル事例

敷居被害

今回経験したトラブルは「シロアリ被害」です。
3ヶ月前に築15年の建物を購入された方が和室の敷居の異変に気付き、仲介不動産業者に相談。その後の詳細調査の結果、ヤマトシロアリの被害と判明。

対象の物件は、引き渡し後の「契約不適合責任期間」が半年間付与されていた為、売主の負担で敷居の修繕工事とシロアリ駆除工事を施工しました。

1-1.「契約不適合責任」とは…

 

本題に移る前に、契約不適合責任について簡単に解説いたします。
契約不適合責任とは、売主が法的に負う責任で時効は引渡しから10年(知った時から5年)です。目的物が契約の内容に適合しない場合(=契約不適合)、買主は売主に対して「損害賠償請求」「契約の解除」「追完請求」「代金減額請求」ができます。
法律上は中古住宅でも新築住宅でも同様に適用されますが、中古住宅の売買では契約時の特約条件で責任期間を短く設定されるのが一般的となっています。

 

1-2.トラブルの要因(原因)

 

今回のシロアリ被害トラブルの原因は主に以下の3つが挙げられます。

①新築後、顕著な異常や不具合が無かった事から建物の定期点検やシロアリの予防工事がされていなかった事。

②取引前にインスペクション等の建物の詳細調査を実施していなかった事。

 

③契約不適合責任責任期間が半年付与されていた事。

③については、個人間売買の場合は契約不適合責任期間を免責とする事が可能な為、現状は比較的稀なケースと言えます。しかし最近は大手不動産会社では買い手へのセールスポイントにしたり安全な取引とする為、数ヶ月から1年間程度に期間を短縮して契約するケースが増えています。

 

2.それぞれの視点、対処法

 

では、今回のトラブルを売主側、買主側、それぞれの視点でどうしたら良いのかを見ていきます。

 

2-1.売る側の視点、対処法

注意点

今回、結果的に工事費用が全て売主負担となりました。
想定外の出費と既に自身の持ち物ではない建物への修繕工事を負担をする事に、釈然としない気持ちがあったかと思います。しかし法律上の義務なので回避はできません。
では、そうならない為にはどうしたら良いのか、前述のトラブル原因別に対策を見ていきます。

原因①…建物のメンテナンスをしっかり行う

「家を売る」という選択肢が頭に浮かんだ時点で多くの方が建物の「メンテナンス」に消極的になる事があります。「どうせ売ってしまうのだから…」と思うのはわかりますが、売る場合もトラブル回避の観点から言えばメンテナンスは必須です。メンテナンスで良い状態であれば、建物の価値を高め、買い手がつきやすく売却価格も上昇するメリットがあります。

原因②…事前に建物の詳細検査を行う

事前に建物の状態を調べる事は、主に買主側に利点が多いような気がしますが、取引後のトラブル回避という点で売主側にも利点があります。

原因③…契約不適合責任期間の見直し(短く設定する)

ここでは対策として「短く設定する」と書いてはいますが、あくまで売主側の応急の対処法で根本的な対策とはならないので注意が必要です。
最近の市場動向から、今後は不適合責任期間を付与する物件が増えていく傾向にある事や契約不適合責任期間の無い物件については買い手がつきにくくなる等の不利が生じる可能性があるからです。

 

2-2.買う側の視点、対処法

 

今回は契約不適合責任期間内にシロアリ被害に気付けた事で費用負担なく対処が出来ました。
しかし、シロアリ被害に気付けずに期間を過ぎていたらどうなっていたことか…被害も進み修繕工事は大型化、当然工事費用は高額になっていたはずです。また購入した早々にシロアリ被害に遭った事に少なからずショックを感じずにいられなかったようです。
では、そうならない為にはどうしたら良いのか、前述のトラブル原因別に対策を見ていきます。

 

原因①、原因②への対策

事前に建物の状態を把握する(詳細検査を行う)
事前に建物の状態を調べるインスペクション等の検査を行い、建物の状態を購入前にしっかり把握しておく事が非常に有効な対策と言えます。
検査にはそれなりに費用もかかりますが、安心して購入検討できる点や仮に今回のケースのようなシロアリ被害が発見された場合は値引き交渉などに有利な情報にもなりえます。また、重要事項説明(契約前に建物の状況を説明する)の際に、どんなメンテナンスを行ったか等、詳細に説明を求める事も有効です。

原因③への対策

今回のケースでは契約不適合責任期間があった事で対処が出来ましたが、免責特約で責任期間のない物件を検討する場合は、より事前の建物状態の把握が重要になります。

 

3.まとめ

 

建物は表面を見ただけでは本当の状態は分からないものです。更にクロスや内装のみ新しく改装されている物件ではなおさら発見が難しくなります。
こういった目に見えにくい建物の不具合は取引上のトラブルばかりでなく、住まう人の安全にも影響します。
メンテナンスで建物が「健全」である事(又は検査で健全と知る事が)、人の住まう住宅としても、取引上のトラブル防止の観点でも重要です。