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コラム

COLUMN

2023.10.26
法規・法律

令和5年度税制改正大綱:空き家の発生を抑制するための特例措置(3000万円特別控除)の延長・拡充について


先月、築60年の中古住宅の不動産売買仲介を行った際に、売主様より不動産の売却活動をはじめる前に、相続された不動産の有効活用について、相談を受けました。

賃貸にするか、古い住宅を解体撤去し、更地として売却すべきか、このまま築古の中古戸建として売却すべきか、といった内容です。

この建物は、築43年で2年前に親御様より相続され、7年前に親御様がまとまった費用をかけ、外装・内装・水回りなど設備の全体的な改修工事と、耐震補強工事も実施された建物でした。

貸した場合の家賃収入と維持管理費用や固定資産税、また建物を解体した場合の解体撤去費用なども精査し、建物はそのまま残し「相続財産を譲渡した場合の3000万円特別控除の特例」の措置を利用し、戸建住宅の売却後の節税も試算し見込み、中古戸建として売却のご提案を行い、売り出し、無事売買契約・引き渡しまで完了しました。

昨今、核家族化が広がり親御様との同居の減少により、相続された空き家をどうすればよいかという相談を多く受けます。その際にまずご説明ご提案を行う「空き家に係わる譲渡所得の3000万円特別控除の特例」について、また令和5年度税制改正大綱で、その特例措置が延長・拡充されることとなりましたので、その内容について解説します。

 

 

1.制度の概要

 

 相続人が、相続により生じた古い空き家を譲渡した場合、譲渡所得から3000万円を特別控除する制度です。

もともと居住用の自宅の土地建物を売却した場合には、3000万円まで控除できる特例はありますが、その自宅に住んでいた所有者が売却した場合のみで、相続人が相続により土地建物を取得してもその相続人が自宅として住んでいなければ、控除対象とはなりませんでした。そのため、相続しても譲渡せず、そのまま空き家になっている建物が多く発生していました。

 そこで、居住していない相続人が建物を取得した場合でも3000万円の控除が受けられるようにし、空き家の市場への流れを促し、空き家の抑制を目的として平成28年に施行されました。

 この特例は次のものを満たすことです。

  1. 昭和56年5月31日以前に建築された家屋(区分所有建物は除く)で、その家屋を取り壊して譲渡するか、家屋ごと譲渡する場合は耐震基準に適合すること。
  2. 家屋に被相続人以外に居住してた人がいなかったこと。
  3. 相続開始後3年を経過する年末までの譲渡であること。
  4. 譲渡価格が1億円以下であること。
  5. 相続で取得してから売却までに、事業用、貸付用、居住用に供されていないこと。
  6. 譲渡した不動産について、相続税の取得費加算の特例、収用の特例の適用を受けていないこと。
  7. 購入者が、夫や妻、親族、また生計をともにする親族や特別な関係がある人でないこと。

上記が要件となっており、昭和56年以前の建物で、相続から譲渡による節税効果を享受するためには、耐震基準に適合している建物は相続から3年以内に譲渡する必要があり、耐震基準に適合していない建物を残す場合は耐震改修工事を行う、または建物を解体撤去し更地にし、相続から3年以内に譲渡する判断が迫られ、相続後の空き家の増加や放置による社会的なリスクを低減させることにつなげました。

しかし、現状お客様からのご相談で、まだ相続財産の売却(譲渡)前に、耐震改修工事や建物の解体撤去を費用を捻出して行うことが困難な方も多く、また首都圏や市街地ではない、土地の相場価格の高くない地域では、上記要件を満たすコストの方が譲渡益よりも大きくなる場合も少なからず考えられ、節税の恩恵を受けるうえでの地域格差もあると思われます。

 

2.改正内容

 

① 現行の措置を4年間(令和6年1月1日〜令和9年12月31日)延長

② 売買契約等にもとづき、買主が譲渡の日の属する年の翌年2月15日までに耐震改修又は家屋の取り壊し工事を行った場合、工事実施後であっても適用対象とする。

③ 相続人の数が3人以上である場合における特別控除は3000万円ではなく2000万円とする。

改正内容は上記のようにかわり、現行では空き家の3000万円控除については、譲渡(売買契約前)するときまでに売主が要件を満たさなければいけませんでしたが、譲渡後(売買契約後)所定の期日までに要件を満たすことで可能とし、いわゆる売主が手持ち資金を用いて、耐震補強工事や、家屋の取り壊し工事を行わなくても良いケースもあり、より適用を受けやすくなっています。

 

 

3.実施上のメリット、デメリット及び注意点

 

 今回の改正のメリットは、相続し譲渡する場合に、手持ち資金がなく、耐震基準に適合するための耐震改修工事費用や、建物の解体撤去費用を売主ではなく買主が一括して負担することが可能になった点です。つまり売買契約時(譲渡)に契約書にその旨を定め契約し、譲渡の日の属する年の翌年2月15日までに耐震改修工事または建物の解体撤去を買主が実施すれば譲渡人は特別控除を受けられるということです。これにより、相続した人がまず先に自費で、費用負担し手配・準備をしなければいけないという、心理的、経済的負担のハードルが下がりました。 

 デメリットとしては、相続人が複数で相続した場合、1人あたり3000万円の控除を使えたのですが、3人以上の場合は1人2000万円の控除に下がったという点です。つまり、例えば相続人2人で、6000万円の譲渡益を当配分し1人3000万円の譲渡益を得た場合、改正前は1人3000万円までの特別控除を受けた場合譲渡所得税はかかりませんでしたが、改正以降は1人3000万円-2000万円=1000万円分に対する譲渡所得税の負担が発生することとなります。

 なお、相続直前において被相続人の居住の用に供せられていた家屋が対象ですが、2019年4月1日以降の譲渡については、被相続人が要介護認定を受け、かつ相続開始の直前まで老人ホーム等に入所していた場合(老人ホーム等の入所から相続開始の直前まで、本人の一定の使用があり、かつ事業用、貸付用、本人以外の居住用などない場合に限る)についても適用対象となっています。ご子息、親族などが遠方の方など身寄りの少ない高齢者は、施設へ移られることも多く、この場合の自宅から居住を移した場合、適用出来なかった要件が緩和されています。

 また、注意するポイントとして、親の自宅を相続した場合に、相続から売却までの間に一次的に居住用、貸付用、事業用に貸付してしまった場合は、この特例は使えなくなってしまいますので、注意が必要です。

 

4.まとめ

 

昨今、日本の高齢化も進み、その影響下で空き家の増加傾向も進んでいます。

前述の相続空き家の売買仲介事例も含め、相続による空き家の売却の相談も日々受けております。

その際に、新耐震基準(昭和56年)以前の古い建物でも、永年大切に管理・メンテナンスを続け、状態の良いお家については、取り壊し撤去する費用よりコストを抑え耐震基準を満たす改修工事も可能なケースもあり、今回の「空き家に係わる譲渡所得の特例」の拡充要件の、契約時の取り決めなどにより、売買契約後に購入者が耐震基準に適合する工事の実施についても適用できることとなり、その利用要件は緩和され使いやすくなりました。

建物を解体し更地として特例を受けることも可能ですが、永年生まれ育ち思い出のつまったご自宅を可能であれば、次世代へ継承し、有効に活用出来るのであれば実現したいという要望もよくお受けします。

 弊社の理念「for LONG=価値を高め長持ちさせる 」にしたがい、住宅を永く良い状態に保ち、永くお住まい頂くための業務に永年携わってまいりました。それは、次世代へつなぐことも含め考えております。

現在、古い空き家を解体し新築が建つケースも多いですが、自身の日々の不動産売却時の査定業務において、築42年以上の新耐震基準以前の建物査定時に、柱や床は木目の色や深みも増し、風合漂い、古き良きヴィンテージ感であったり、エイジングによる独特の個性による、新築とはまた違った価値を感じることもあります。古民家の再生事業なども広がり、カーボンニュートラルを目指す社会の中で、フロー型からストック型への社会の移行も必然となってきており、このような古いものを大切に永く使うことも、資源の持続可能な利用の観点からも意義あることとも言えます。

今回「空き家の発生を抑制するための特例措置の延長・拡充について」の解説で、相続した空き家の譲渡時の節税について、また資源保全の観点も少し踏まえお考え頂ければ幸いです。

 

参照 国土交通省 出典

空き家の発生を抑制するための特例措置(空き家の譲渡所得の3000万円特別控除)

https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk2_000030.html