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住宅メンテナンスの費用相場と時期|長持ちする家づくりの基礎知識
家族との笑顔があふれる、かけがえのない我が家。念願のマイホームを手に入れたときの感動や、そこで過ごす日々の安らぎは、何物にも代えがたい宝物です。
しかし、どれほど大切に思っていても、家は紫外線や雨風に常にさらされ、時間とともに少しずつ劣化していきます。
この先も長く、安心して快適な暮らしを続けるためには、住まいの価値を適切に守る視点が欠かせません。
今回は長持ちする家づくりの基礎知識について記載していきます。
目次
1.住宅メンテナンスが必要な理由
住まいは私たちにとって最も大切な財産であり、継続的な住宅メンテナンスがなければ、本来持っている機能を保つことはできません。
住宅メンテナンスがなぜ必要なのかを考える時、自動車の管理と比較してみると分かりやすいでしょう。
どれほど高性能な車両でも、オイル交換や定期検査を行わなければ不調を起こしてしまいますよね。
住宅メンテナンスについても同様で、適切な時期での丁寧なケアと点検作業が欠かせないのです。
1-1.時間の経過による劣化は自然な現象
建物の様々な箇所は、年月を重ねるにつれて確実に老朽化していきます。

- 屋根・外壁: 太陽光や雨風による塗膜の損傷、表面のクラック
- 水まわり設備: 温水器や配管システムの錆び、機械の不具合
- 室内: 床材の損耗や内壁の汚損
日本特有の四季の変化により、建造物への負荷も相当なものとなるため、継続的な対応策が必須となります。
1-2.住宅メンテナンス費用を抑えるためのリスク回避
適切な家のメンテナンスを怠ってしまうと、軽微な問題が重大なトラブルへと発展し、最終的には多額の修繕費用が必要になる危険性があります。住宅メンテナンス費用を抑えるためにも、早期発見・早期対応が重要です。現実に起こりがちな被害例を説明いたします。
1-3.住宅被害事例
雨水の侵入による深刻な被害
屋根表面の微細なクラックを見過ごした結果、雨水が浸入。発見した際には天井部や壁面にカビが広範囲に繁殖し、復旧工事が数百万円規模に拡大するケースが見られます。

機器の予期せぬ故障
温水器の検査を怠り、厳寒期に突如として機能停止。緊急修理により、標準的な料金を大幅に上回る費用が請求されることも決して珍しくありません。
シロアリによる床下構造の損傷
防蟻処理を怠った結果、シロアリが床下の支柱を食害。大規模な駆除作業と補強工事が必要となります。

これらの被害は、事前の適切なメンテナンスによって回避することが可能です。
2.住宅の寿命を延ばすメンテナンス時期の重要性
正しい時期での住宅メンテナンスを実施することにより、建物の耐用年数を飛躍的に伸ばすことが可能となり、日本の木造建築でも50年を超える長期間の居住が実現できます。同一条件で建築された住宅であっても、家のメンテナンス時期と実施状況により耐久性に顕著な差異が生じます。
- 適正なメンテナンス実施: 50-80年間の居住が実現可能
- メンテナンス不足の場合: 早期に大型修繕が必要となる可能性があります
2-1.部位別メンテナンス時期と費用相場(参考)
続いて部位別メンテナンス時期と費用相場(参考)について記載します。

- 外壁塗装のメンテナンス時期:10-15年(壁面に触れると粉末が付着)
- 屋根塗装メンテナンスの時期:7-15年(屋根の変色、瓦材の位置ずれ)
- 給湯器交換の時期:10-15年(湯温の不安定化、運転時の騒音増大)
- 水回り設備の交換時期:15-20年(水栓からの水滴、排水系統の異臭)
- 防蟻処理の実施時期:5-10年(建物近辺での羽アリの発見、床鳴り音)
継続的な住宅メンテナンスは、住宅の「延命処置」ではなく、本来備わっている性能を保持し続けるための「健康維持」と考えるべきです。適切なメンテナンス時期を把握することで、計画的な家の管理が可能になります。
3.住宅メンテナンスの主な種類
住宅のお手入れは外装、設備、内装の3つの領域に大別され、各々に最適なタイミングと手法が存在します。
3-1.外装関連のメンテナンス
- 屋根: 瓦材の破損や位置ずれ、雨樋の詰まり確認
- 外壁: 塗膜の劣化確認、シーリング(接合部)のクラック修繕
3-2.設備関連のメンテナンス
- 水まわり: 台所、浴室、便所の配管検査
- 給湯器: フィルター清掃、動作確認
3-3.床下関連のメンテナンス
- 床面: フローリングの損耗、きしみ音の確認
- 壁面: 壁紙の剥離、カビ発生の点検
- 床下: 定期的な検査、シロアリ対策(防蟻処理)

4.メンテナンス費用の目安と計画
年間で住宅購入価格の1-2%程度を住宅メンテナンス費用として準備することで、計画性のある維持管理が実現できます。家のメンテナンス費用を事前に把握し、適切な資金計画を立てることが重要です。
4-1.住宅メンテナンス費用の相場一覧(参考)
- 外壁塗装費用:80-150万円(30坪程度)
- 屋根塗装費用:40-80万円
- 給湯器交換費用:15-30万円
- 防虫処理費用:15-30万円
これらの住宅メンテナンス費用を参考に、長期的な資金計画を立てましょう。
新築住宅3000万円の場合の資金計画(例)
- 年間積立額:30-60万円
- 月額積立額:2.5-5万円
活用できる制度
居住地域の自治体では省エネルギーや耐震に関する改修工事への補助制度があります。工事前に確認することをおすすめします。
5.効果的な住宅メンテナンススケジュールの作成方法
住宅の各箇所には最適なメンテナンス時期があり、計画的なスケジュール策定により効率的で経済的な家の維持管理が可能となります。適切なメンテナンス時期を把握することで、住宅メンテナンス費用も最小限に抑えることができます
5-1.季節別住宅メンテナンススケジュール
- 春季(3-5月): 外周部の点検、羽アリの発生確認、エアコンフィルター清掃
- 夏季(6-8月): 台風対策、水回りの点検
- 秋季(9-11月): 屋根・外壁の目視点検、暖房機器の点検
- 冬季(12-2月): 給湯器の点検、水道配管の凍結防止対策
5-2.長期住宅メンテナンス計画と時期
- 5年目:防蟻処理、床下点検
- 10年目:外壁・屋根塗装、給湯器交換検討
- 15年目:水回り設備の交換検討
- 20年目:大規模修繕の検討
6.まとめ
住宅メンテナンスは、私たちの大切な財産である住まいを長期間快適に保つために欠かすことのできない取り組みです。適切なメンテナンス時期での定期的な点検と修繕により、住宅の耐用年数を延ばし、資産としての価値を維持することができます。
大切なのは、問題が表面化してから対処するのではなく、予防的な視点でのメンテナンス実施です。
住宅メンテナンス費用の年間計画を策定し、必要な資金を準備しながら、効率的で経済的な家の維持管理を心がけましょう。定期的な住宅メンテナンスにより、快適で安心できる住環境を長期間維持することが可能です。
