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コラム

COLUMN

2022.10.25
法規・法律

改正建築物省エネ法について②


2022年6月13日に改正建築物省エネ法が国会で成立しました。そして、2022年10月、ZEH(ゼッチ)と呼ばれるゼロエネルギーハウスではフラット35の金利が最大10年間0.5%引き下げとなりました。脱炭素に向けた流れはあらゆる業界で進んでいますが、この住宅業界においてもその方向の大きな変革が動き出しています。今後どのように変化していくのかを2回に分けてできる限り簡単にお伝えしたいと思います。

今回はその2回目となります。

前回の記事はこちらをご参照ください

1.省エネ基準に対する説明の必要性

 

住宅の性能を高めるということは、住宅の購入者側からすると良い面はありますが、建築コストがこれまで以上に高まるのではないかという懸念が出てくるかと思います。そして、脱炭素や地球環境のためとは言え、本当にそこまでする必要性があるのか?という疑念も同時に起こるかもしれません。

 これについては、住宅事業者側から住宅購入者へ丁寧に説明をする必要があると思います。すでに昨年2021年4月から建築士による省エネ基準についての説明の義務がスタートしています。単純に適合しているのか否かの説明だけでなく、断熱性能を高める社会的な意義やそれによるメリットデメリットまで含めて、施主が理解し判断できる材料をしっかりと提供していくことが建築側には求められるでしょう。

 

2.断熱性能の高い住宅のメリット

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 確かに建築コストは高まりますが、一般的には長い目で見れば「元は取れる」と言われています。当然、住まい方にもよりますので絶対とは言い切れませんが、断熱性能を高めることで電力消費を抑えられれば費用的な節約にも繋がります。

 また、家の中での温度差によって心臓や血管に負荷がかかりおこる”ヒートショック”による死亡事故は交通事故よりも多く、これを防ぐためにも暖かい住まいであることはとても重要です。

 そして、夏季冬季の電力逼迫による節電の呼びかけもニュースで見聞きすることが増えて来ていますし、消費電力をより少なく抑えられる住宅に住むことの社会的意義も高まっています。

 そして何より、温室効果ガスの排出を抑えることに繋がり、地球環境保全の一助としてよりサステナブルな暮らしに貢献できます。

 

 メリットのまとめ


1.長期的にみればコストカット


2.より暖かくより快適でより健康に


3.節電による社会貢献


4.地球環境保全に貢献

 

3.断熱性能による差別化のその先

 

今回の全ての新築住宅・非住宅に省エネ基準の適合義務化によって、建築事業者にとっては断熱性能での差別化はしにくくなります。そこでよく取り上げられることが多くなったのが、HEAT20が提唱する住宅外皮水準G1~G3です。こちらはこれまでお話ししてきた省エネ基準とは考え方が少し異なり、単純な外皮性能基準の数値を満たしているかどうかだけを基準とするのではなく、「住宅シナリオ」と呼ぶ4つの項目を満たすことを条件としています。
詳しくはHEAT20のホームページ(http://www.heat20.jp/grade/index.html)をご覧ください。

その主な内容として最もわかりやすいのが、例えば「G2は概ね13℃、G3は概ね15℃以上(地域にもよる)」と、性能を数値ではなく”室温”で表現しているところだと思います。施主側からすると、数値で性能の良し悪しを語られるよりも、「室温○○℃」と表現された方がわかりやすいですよね。
「断熱等級4」レベルが義務となることが決まり、それが最低基準となっていくことから、単純な性能による差別化ではなく、各建築会社はHEAT20のグレードで差別化を図っていくことになるでしょう。
しかし、単純に最高位のG3を目指せば良いかというとそういう訳でもないようです。というのも、G2レベルが最も費用対効果が高く、G3レベルは建築にかけるコストに対してそれに見合うだけの費用対効果が見込めないと言われているからです。それも踏まえて、どこまでの性能を目指すのか予算も加味して考えていくのが良いと思います。また、各建築事業者がどのような省エネや脱炭素を絡めた戦略を打ち出しているのか、見比べてみるのも面白いかもしれません。

 

4.既存住宅において

 

 ここまでお伝えした法改正は新築時の基準であり、既存の住宅において規制されることはありませんが、既存住宅であっても比較的容易に断熱性能を高めることは可能です。ドアや窓やガラスの性能を高めるだけであれば、さほど大掛かりな工事もなく数十万単位から可能です。しかも、住宅における熱の出入りは6割〜7割が窓などの開口部からと言われています。つまり、窓やドアなどの断熱性能を高めることはとても費用対効果の高い断熱改修となります。また更には、断熱リフォームに対して補助金の出る国の事業もありますので(2022年7月現在)活用してみるのも良いかと思います。

 

5.まとめ

 

 脱炭素の流れは私たちに最も身近な”住まい”も例外ではありません。私たち住宅購入者の選択や住まい方によってもこの国や地球の未来は変わっていきます。住まいの中でも特に木造住宅は、CO2を固定する木材が多く使われていることから、長持ちさせればさせるほど脱炭素効果が高いと言われます。この法改正により断熱性能の高い木造住宅が増え、しかもその住宅が50年100年と長く使用されていけば、快適な暮らしが長く続くばかりでなく、それだけ地球環境にも貢献していくことになります。法律だから義務だから仕方がなくおこなうのではなく、より未来を見据えたスマートな選択をしていきたいものですね。

 「住まいは経年進化する。」時代とともに住まいに求められるものは変化していきます。性能だけではなく、私たちの住まいに対する考え方もアップデートしていくことが求められているのかもしれません。

地球×エコ