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コラム

COLUMN

2022.11.11
中古住宅

中古戸建住宅の査定方法と建物価値の維持(前編)


現在おこなわれている、不動産流通市場における建物の評価(査定)と建物の本来の価値を評価する上でのよりよい評価(査定)のあるべき方向性、またその上で、建物価値を下げず、より永くお住まい頂くうえで大切なポイントについて2回に分けてお伝えしたいと思います。

1.建物評価(査定)の現状

 

 現状の中古戸建住宅の売買時の建物の査定価格の求め方は、法人税法上の耐用年数(木造住宅は22年)などを参考にして、住宅の状態にかかわらず20~25年程度で住宅の市場価格がほぼゼロとされる取り扱いがいまだに主流となっているのが現状です。

 いま巷で流行っています、不動産の「AI査定」の建物評価(査定)も基本的には、耐用年数と経過年数から算出される減価修正により価格が出され、建物の設備や装備・新築時のグレードのランクや個別的価値の条件は加味されていません。

 また、新築時より、定期的に点検メンテナンスされ、その性能や美観もほとんど損なうことなく経てきた建物と、そうでなく点検メンテナンスが行なわれておらず、損傷が進行し、性能や美観も劣った建物ともに築年数によりその価値が残存評価され、人が居住するという住宅本来の機能に着目した価値いわゆる「使用価値」でなく、取引市場で比較反映された「市場価値」の相場が査定評価されているのが現状です。

 

2. よりよい建物評価(査定)とは

住宅評価

 建物評価基準の業界の流れを変えるべく、国土交通省が平成26年3月 「中古戸建て住宅に係る建物評価の改善に向けた指針」 を策定しました。

 これは、中古戸建て住宅について、取引時に個別の住宅の状態にかかわらず一律に築後20~25年で建物の市場価値をゼロとするの慣行が、中古住宅流通市場活性化の疎外要因となっており、それを改め良質な維持管理やリフォームが行なわれている住宅が適切に評価されるよう、住宅を基礎躯体内外装・設備に大きく分類し、基礎・躯体については、性能に応じて、20年より長い耐用年数を設定し、例えば長期優良住宅であれば100年超の耐用年数とすることを可能とする。

 基礎・躯体部分の機能が維持されている限り、リフォームを行なった場合は住宅の価値が回復・向上するととらえて評価に反映する、ことなどを評価の改善の基本的な考え方として示しています。

 この指針も、策定されてから8年たっていますが、現状、不動産流通市場において普及しているとは言えません。

 しかし、中古戸建の価格を正しく評価する上においてとても意義ある指針です。


参照
国土交通省 土地・建設産業不動産課・住宅曲政策課「中古戸建て住宅に係る建物評価の改善に向けた指針」
https://www.mlit.go.jp/report/press/totikensangyo16_hh_000101.html

 

 

3. 3つの不動産評価法

 

 指針より、不動産の価値の求め方には、再調達原価から劣化等に鑑みた減価修正を行なって価値を評価する原価法、物件の近隣の類似物件の売買事例をもとに価値を評価する取引事例比較法、対象不動産が将来生み出すと予測される収益をもとに価値を評価する収益還元法の3通りあります。

 取引事例比較法については、個々の住宅の特有の価値を正しく反映された取引事例が多く存在しておらず、このような状況で取引事例比較法を適用すると、現状の査定価格と同じようになってしまい、建物本来の価値を評価出来ないのが現状です。

 収益還元法については、中古戸建住宅のほとんどは、自己居住用に売買されており、未だ発展途上にある賃貸物件市場において評価するには、条件面など検討の余地が大きくあります。

 これに対し、原価法は手法としては市場に定着しており、また、建物の補修などによる価値の回復などの評価もしやすいため、中古戸建住宅の本来の評価を行う上では、現状この原価法を用いて評価することが最適です。

原価法とは、対象物件の 再調達原価※1を求め、

※1 国土交通省「中古戸建て住宅に係る建物評価の改善に向けた指針(附属データ集・附属データ参考資料:3住宅の部位別の再調達原価)

 この再調達原価に減価修正を行い対象不動産の価値を求める方法です。また、評価時点で新築時よりどの程度価値が減少しているか求める必要があります。また、ここでいう価値とは、マーケットで売買されている「市場価値」ではなく、人が居住するという住宅本来の機能による「使用価値」を評価の対象とします。

また、これは築年数のみによる減価償却ではなく、個別の住宅の状態による「使用価値」を判定し減価修正を行なうものとします。

 


※次回に続きます。後編をお楽しみに。