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コラム

COLUMN

2023.09.04
耐震

トルコ地震から学ぶこと


最近、地震のニュースを多く目にします。

また、今年2023年9月1日は関東大震災から100年が経つ…という事もあってか、耐震補強に関する問い合わせも多くなっており、防災の中でも特に地震対策への関心の高まりを感じています。

そこで今回は、記憶に新しい世界的な大震災、2023年2月6日に起きたトルコ地震を知る事で、今必要な地震対策について少し掘り下げてみます。

1.トルコでは

トルコは日本と同じように地震が多い国として知られています。1999年にも約1万8千人もの被害を出した大規模震災を経験しているほどです。ですが、今回の震災でも5万人を超える被害が出てしまいました。地震の規模もありますが、以前より被害を拡大した要因が他にも存在する事がテレビなどでも報道され注目を集めました。

 

それは「政策」です。

 

1-1 .守られない耐震基準

 

地震での人的被害の多くは建物の倒壊による圧死や窒息死です。トルコでは「組積造」と呼ばれるレンガやブロックを積んで建てられた建物が多く、その耐震性の低さが被害拡大の最大の要因と言えます。当然、建築基準の見直しや規制などで建物の耐震性を高める施策が取られました。しかし、当時の経済状況や都市計画などの要因から、一定の金額を払えば耐震基準特例が認められるなどの制度が作られました。建物の新築や増改築の際にその費用軽減や利便性を優先する為にその制度が利用されればされるほど耐震基準を満たさない建物は減らず震災後も多く建てられ続けた事で今回の結果につながっています。

 

1-2. 災害後救済措置

建物の耐震性向上を妨げてしまった政策として震災後に制定された救済制度にも原因があるとも言われています。トルコでは震災後、建物被害を受けた被災者に恒久住宅を供与する制度が制定されました。「仮設住宅」ではなく「恒久住宅」ですから一見他に類を見ないほど手厚い救済制度に見えます。しかし、この制度が既存建物の耐震性向上を妨げたと言われています。

いわば「地震で倒れたら新しい家がもらえる… 耐震補強したら損」という事。

耐震補強が進まなくなる事は当然の影響と言えます。

 

2.日本では…求められる支援制度

 

ここまでトルコの災害政策の失敗を二つ挙げました。では、日本ではどうでしょうか。

耐震基準では、宮城県沖地震を受けては昭和56年(1981年)、阪神大震災を受けては平成12年(2000年)に建築基準法改正がされ耐震基準が強化され審査機関による完了確認の義務化など、現在は非常に厳格な制度となっています。ただし、日本でもトルコと同じように平成バブル期の大規模な建築ムーブにあわせて一時期「規制緩和」の動きがあった事は忘れてはいけない事実です。

(阪神淡路大震災の被災直後の写真)

また日本では救済制度として「被災者生活再建支援制度」が設けられており、被災者の住宅購入や再建への支援として最大300万円の支援制度が受けられます。

被災された方からすればより手厚い支援を求めたい所です。

しかし、トルコでの事例の様に手厚い支援がかえって社会的な防災力を押し留め、震災の教訓が活かされない事に繋がりかねない事を考えると非常に難しい問題に思えます。

今、支援は手厚くかつ震災の教訓が活かされる様な制度の創設が求められています。その答えが出るのは少し先になるかもしれません。

 

3.公助、自助、共助 叫ばれている公助限界

 

こう考えていくと、政策主導の地震対策の重要性を感じますが、一方で政策に任せた地震対策には限界があることも感じます。

防災の考え方に「公助」「自助」「共助」の3つのカテゴリに分ける分類の仕方があります。

公助…政府や公的機関が行う自衛隊派遣や補助金、災害支援制度など

自助…耐震補強や備蓄、地震保険など自分自身が行う対策

共助…近隣住民や他地域ボランティアなどの助け合い

この中では、トルコの事例にも象徴される行政主導の「公助」による災害対策に限界がある事は、日本でも以前から議論されており様々な場で指摘されていたことでもあります。

そういった場で重要視されているのが「自助」の重要性です。

自宅の耐震補強や新築などの建物の耐震性向上で、社会全体の被害(人的物的)を減らす事で、災害後の「救済が必要な人が減る=公助負担の減」に繋がる事で「公助」拡大が可能になります。また、「助かった人=助ける人」となる事で地域防災の拡大や活性化、いわゆる「共助」の拡大にも繋がります。

 

「自分と自分の家族の命を守る」

 

まずはここから…

「自助」の充実、私にはそれこそがトルコ地震から得る最大の教訓と感じています。

 

この記事が今一度ご自身の周りの「防災」について考える一助になればと思います。