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コラム

COLUMN

2022.03.25
構造

基礎について②


前回、基礎の役割と種類についてお伝えしましたが、今回は住宅の基礎について書いていきます。

 

1.住宅基礎の歴史

住宅の基礎

住宅基礎で使用されている、鉄筋コンクリートは様々な場面で使用されています。
住宅はもちろん、公共施設や高速道路等日常生活で必ず目に付き・触れられる場面で使用されています。
鉄筋コンクリートの歴史と住宅に使用され始めた歴史と建物との関係性についての内容をまとめさせて頂きました。

【歴史】
鉄筋コンクリートの歴史は古く19世紀頃から工法として確立されていました。
鉄筋コンクリートを使用した住宅では、4階建て住宅が1853年頃に建てられています。
日本で1番初めに使用された鉄筋コンクリートの建造物は、琵琶湖疎水の橋だと言われており1903年頃に造られました。
住宅ですと軍艦島の集合住宅といわれており、1916年頃に建造されています。

今では、生活に欠かせない物となっていますが、鉄筋とコンクリートを組み合わせる工法は、それぞれの欠点を補い強度を上げる奇跡の産物と思います。
鉄筋は大気中の酸素と結合し酸化して錆が発生し、長い年月を経ると腐食し、当初の強度を保て無くなります。
しかし、コンクリートの成分に含まれるセメントは高アルカリ性の為、コンクリート内部の鉄筋は錆びる事無く性能を維持します。
またコンクリートは圧縮力に強く、曲げに弱い部分を鉄筋の曲げに強い特性で補う形でバランスを取っています。
互いに弱い部分を補う事で、生活には欠かせない奇跡的な産物となっています。

 

2.建物と基礎

 

建物と基礎は、作る上で欠かせない物となっています。
建物の荷重を地盤へ伝える役割をになっており、地震や台風等で建物に負担が掛かっても建物を支え、そこに維持させる役割をします。
勿論、基礎だけが丈夫でもそこを連結させる金物や構造躯体が弱い状態ですと意味がありません。
1981年には耐震設計法が抜本的に見直しがされて、建物の耐震性が飛躍的に上がりました。
基礎も建物も耐震性が飛躍的に良くなり法改正後の阪神大震災時には、建物の被害が少なかった。と、報告されています。

 

3.金物と基礎

金物と基礎

基準が良くなっても、木造住宅は基礎と建物を別々で造り繋げる工法です。
基礎と住宅を繋げる金物として、アンカーボルト金物が有ります。
また地震や台風で、土台や梁から柱を抜け無くさせる金物としてはホールダウン金物が有ります。
ただ基礎の上に建物を乗せているだけでは、いざという時に役割を果たしませんので、しっかりと連結させる必要があります。

 

3-1.金物

基礎 ボルト

アンカーボルト金物やホールダウン金物は、住宅を建てる時の基礎工事中に設置を行います。
私も以前の仕事柄金物の設置位置の確認・本数の確認・土台の墨出し確認を行なっていました。
金物設置段階で、この土台位置を墨出しを行い、金物の通りを合わせ・垂直に金物を設置を行う事でその後の大工工事にも影響が出てくる大切な段階となります。
また基礎伏せ図(金物図面等)で、金物の設置位置は決まっている為、その位置で正確に設置を行う必要があります。
位置がズレる事で、柱や筋交い等に干渉してしまう事や土台の継ぎ手部分に上手く合わなかったりする時もあり得ますので注意が必要でした。
また基礎コンクリートへの埋め込む深さも決まっていて浅すぎると必要強度が出ませんし深すぎると土台にアンカーボルトの固定が出来ません。
固まる前のコンクリートに固定をする形になる為、位置や角度が悪いと後から直す事が出来ませんので、決まった時間に確認に現場へ向かう必要も有り当時は大変でした。

 

3-2.基礎

基礎の割れ

初めに書かせていただいた通り、鉄筋コンクリートの基礎は、鉄筋とコンクリートを合わせて造られます。
鉄筋は大気中の酸素と結合し酸化して錆が発生しなければ、強度的には落ちません。
では、半永久的に保つものと言われるとそうでは有りません。
表面のコンクリート部分は、地震によるひび割れ・中性化・塩害・凍害・アルカリ骨材反応等が原因で、コンクリートの劣化やコンクリートには影響は出ないが、内部の鉄筋へ直接影響が出てきます。
特に中性化は、長い年月を経てコンクリートのアルカリ性を中性化してしまう事で、コンクリートは問題が無くても内部の鉄筋が錆び付いてしまいます。
鉄筋が錆び付いてしまう事で、内部から膨張をしてしまいコンクリートが爆裂してしまう現象もあります。
そう言った現象を遅らせるためにもコンクリートの被り厚さが、基準として設けられています。
コンクリート表面から鉄筋までの厚みになります。
この部分が薄すぎると鉄筋までの距離が短すぎて錆の原因となります。
また厚みがあり過ぎても鉄筋の粘り気が足りずに割れの原因になりますので注意が必要です。

 

4.まとめ

基礎

鉄筋コンクリートの鉄筋とコンクリートの性質は、別々では弱い部分が有りますが、それぞれの強い特性を活かす事で粘り強く強度も出る物となります。
その鉄筋コンクリートに建物を連結させる金物も人の手で設置を行い始めて完成します。
建物を作る上では他にも色々な基準が有りますが、建物の基礎となる部分だからこそ最も重要で後から変えられない重要な部分です。